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認知症と生きる 預金や株式、凍結防ぐ

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認知症と生きる 預金や株式、凍結防ぐ

認知症と生きる 預金や株式、凍結防ぐ

2022/04/04

 金融機関の間で最近、話題となっているのが、顧客が認知症になった時の対応だ。判断能力がなくなってしまうと,本人の資産を守るために取引に制限がかかる。ただ、生きている限りお金は必要で、資産が凍結されれば生活を支える家族が困る。こうした事態に備えようと、あらかじめ準備しておけば、万一の際に家族が資産を管理しやすくなるサービスが相次いで登場している。
          事前手続きで家族が管理
 銀行預金は親族による使い込みなどを防ぐため、預金者本人の意思が確認できなければ引き出せないのが原則だ。資産を守るための対応だが、もし認知症になり意思を確認できない状態になると、引き出しや振り込み手続きが難しくなり、家族が生活費や介護費用を立て替えなくてはならない。そうなれば家族の家計にも影響が大きい。
 支払いに充てる優先順位が高い銀行について、全国銀行協会は2021年、高齢者の判断能力が低下した際に家族の引き出し依頼にどう対応するか、銀行の指針となる[考え方]をまとめた。成年後見制度の利用が基本としたうえで、医療費や介護費で緊急に必要な時に限って家族が代わりに引き出すことを認める考えを示した。
 具体的な対応は各行で異なる場合があるが、全銀協では預金者本人の通帳やキャッシュカードと家族関係が分かる書類、入院費の請求書等資金用途が分かる書類などを用意して銀行に相談することを勧めている。
 ここ2~3年で銀行に広がっているのが「後見制度支援預金」だ。本人の判断力が全くなくなった場合、後見制度に基づく法定後見人が預金を管理する。預金を使う際は家庭裁判所の指示書が必要で、後見人が使い込むなどの不正を防ぐ効果がある。ただ財産保護に重点を置く仕組みで手続きに時間がかかる。
 元気なうちに事前に準備をしておけば、家族が生活費などを柔軟に管理できる。まず預金は「代理人」を銀行に届け出るのが選択肢だ。代理人には専用のキャッシュカードが発行され本人が健康な時も認知症になった後も入出金などができることが多い。
信託銀行では、認知症になった際に家族を代理人として資産を任せる信託サービスがあるる。三菱UFJ信託銀行の「使えて安心」は、代理人が買い物代金や医療費などを立て替えたらレシートをスマートフォンのアプリで撮影して請求すると、5日後に代理人の口座に振り込む。請求があると閲覧者として登録した人に通知され、関係者全員でお金の使い道を確認できる。
 三井住友信託銀行の「人生100年応援信託100年パスポート」は、元気なうちは本人に、判断力が低下したら親族などの代理人に月々低額を払いだす。みずほ信託銀行の「認知症サポート信託」は認知症になる前は資産を預かり、診断後に定期的な払い出しを始める。
 認知症と診断されると証券口座は凍結されてしまう。こうした事態にも対応するサービスが出てきている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の「予約型代理人」サービスでは、本人があらかじめ配偶者か2親等以内の親族を代理人として届け出れば、認知症時に限って代理人が株式や投資信託などの売却・解約・出金などが可能になる。
 マネックス証券の「たくす株」では、本人が申し込み、判断能力が低下したときに家族に任せる株を専用口座に移しておく。、口座の株は、本人が元気な時は自分で売買し、認知症を発症したら家族が代理人として売却・現金化できる。野村証券や楽天証券では家族信託の仕組みを使い、一部の資産の売買を家族ができるようにしている。家族信託では公証役場で契約書を作る必要がある。
 生命保険では代理人を届け出る「指定代理請求特約」を利用すれば、本人が認知症で意思表示できなくなった際に代理人が保険金を請求できる。いずれにしても手続きは早めに考えるのがよさそうだ。
          
          生命保険、契約の有無紹介
 本人が判断能力を失った場合、どの金融機関に資産があるのか家族が調べなければいけない可能性がある。生命保険では生命保険協会がワンストップで加盟会社の保険契約の有無を調べる有料サービスがある。認知症の際は、法定代理人や任意代理人がいないときは3親等以内の親族が照会できる。
 証券口座は証券保管振替機構に口座の有無を紹介する有料サービスがあるが、認知症で本人が確認できない場合の照会は原則、成年後見人か代理人が対象だ。銀行はワンストップの窓口がない。家族に口座の情報をあらかじめ知らせておく方が安心だ。




                                 

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